Japanese
English
臨床経験
TKAを施行したアルカプトン尿症性関節症の1例
A Case Report of Ochronotic Arthropathy
福本 和生
1
,
葛原 啓
1
,
今井 亮
2
,
川北 苭三
3
,
浦田 洋二
4
Kazuo Fukumoto
1
1神戸海岸病院整形外科
2京都第一赤十字病院整形外科
3京都大橋総合病院整形外科
4京都府立医科大学第一病理
1Department of Orthopedic Surgery, Kobe Sea Side Hospital
キーワード:
アルカプトン尿症
,
alkaptonuria
,
アルカプトン尿症性関節症
,
ochronotic arthropathy
,
人工膝関節全置換術
,
total knee arthroplasty
Keyword:
アルカプトン尿症
,
alkaptonuria
,
アルカプトン尿症性関節症
,
ochronotic arthropathy
,
人工膝関節全置換術
,
total knee arthroplasty
pp.297-300
発行日 1992年3月25日
Published Date 1992/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900809
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抄録:我々は,稀なアルカプトン尿症性関節症の1例にTKAを施行したので,若干の文献的考察を加え,報告する.症例は55歳,男性.両親がいとこ結婚である.幼少時より尿の黒変に気づいていた.40歳頃より両膝関節痛を自覚するようになり徐々に悪化,歩行困難となり入院した.各種検査にてアルカプトン尿症と診断し,疼痛の強い左膝に対して平成元年6月TKAを施行した.
我々は,病理組織学的所見および生化学的根拠より,本症における軟骨破壊のinitial stepは軟骨基質障害と考えられるよりもむしろ軟骨細胞障害であると考えた.すなわち,メラニン様色素は,主に軟骨細胞内で酵素反応により産生され,cell deathとともに軟骨基質に放出され,コラーゲンにtightに結合し,そのため軟骨基質の正常な代謝が二次的に障害され,易損性となり,さらに脱落した軟骨片がmacrophageを介して炎症反応を助長し,変形性関節症に進行する可能性が示唆された.
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