発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002166793
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81歳男.右膝と大腿痛を主訴とした.左アキレス腱縫合手術,胃癌手術,左人工膝関節置換術の既往があった.右股関節X線では大腿骨頸部が吸収され,陳旧性内側骨折が疑われた.大腿骨頸部骨折手術を施行したところ,大転子滑液包は肥厚し,短外旋筋群は瘢痕化していた.小臀筋停止部から大転子骨膜下,骨折部骨髄内にかけて黒い肉芽様組織が浸潤し,大腿骨頭は黒色化していたが骨頭破壊はなかった.手術中,低血圧発作を起こしたため,骨頭摘出と黒色組織の生検に留め閉創した.その後も低血圧発作を繰り返したため,再手術はあきらめ,車椅子をゴールとしたリハビリテーションに切りかえた.手術所見より組織褐色症を疑い,既往歴などを再確認したところ,アルカプトン尿症を確認した.病理組織所見としては,肉芽組織内にHE染色で赤褐色を呈する色素を含む軟骨組織が散在し,出血,フィブリンの析出を伴っていた.腰椎X線像では竹様脊柱がみられたが,仙腸関節裂隙は保たれていた
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