Japanese
English
論述
自傷行為による手関節部損傷
Self-inflicted Injury to the Wrist
根本 孝一
1
,
柳田 雅明
1
,
久場川 哲二
2
,
根本 哲夫
3
,
長沢 正彦
3
,
浜野 恭之
4
,
曽根 清明
5
,
足立 秀
6
,
鈴木 克侍
7
Kouichi Nemoto
1
1国立栃木病院整形外科
2国立栃木病院精神神経科
3芳賀赤十字病院整形外科
4済生会宇都宮病院整形外科
5済生会宇都宮病院形成外科
6大田原赤十字病院整形外科
7佐野厚生病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Tochigi National Hospital
キーワード:
自傷行為
,
self-inflicted injury
,
手関節部損傷
,
wrist injury
,
手首自傷症候群
,
wrist-cutting syndrome
Keyword:
自傷行為
,
self-inflicted injury
,
手関節部損傷
,
wrist injury
,
手首自傷症候群
,
wrist-cutting syndrome
pp.919-924
発行日 1991年8月25日
Published Date 1991/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900403
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抄録:1982年から1990年までに経験した25例を検討した.男13例,女12例,平均28.9歳であり,右5例,左19例,両側1例であった.損傷手段は,全例とも鋭利な刃物であった.精神障害のある者は7例で,精神分裂病5例,うつ病2例であった.損傷は,皮膚皮下組織のみの損傷13例,深部組織に達する損傷12例であり,手関節の橈掌側に多かった.「ためらい傷」を8例に認めた.創は鋭的であり,創治癒の条件は一般的に良好であった.深部に達する損傷は,精神障害者に多かった.手術方針として,腱は長掌筋腱以外可及的にすべて,神経はすべて,動脈は桟骨動脈と尺骨動脈の内1つ以上を修復した.
治療には,救命救急処置のほか,精神障害の鑑別と社会的背景の把握が重要である.精神障害者では,初診時から精神科医の併診が不可欠であり,精神医学的治療が,手の機能回復を左右した.非精神障害者では,手の機能回復は一般に良好であった.
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