シンポジウム 機能的電気刺激(FES)の基礎と臨床
緒言:new frontier,脳・脊髄障害の四肢再建に挑む
小野 啓郎
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.1030-1031
発行日 1990年9月25日
Published Date 1990/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900181
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ポリオの終息から30年を経る今日,神経・筋疾患あるいは麻痺性疾患はその性格をすっかり変えてしまった.腕神経叢損傷,脊髄損傷,脳性小児麻痺などの非進行性疾患群と,脳脊髄変性疾患および筋病などの進行性疾患群が,ポリオに劣らず,あるいは一層深刻な障害を残し,不幸な人々は救いの手を待っている.福祉行政の充実と補装具・リハビリテーション関連機器の進歩を除けば,医療は,実質この患者さんたちに何をもたらすことができただろう?例えば,痙性である,整形外科の手法には,痙性に由来する筋・腱の短縮や関節拘縮を解除するか,合併する機能不全や肢位異常を補装具で補正する以外にめぼしいものはない.不随意運動も永年にわたり医療の手を拒んできた.脳神経外科は,残念なことに,昔ほどこの課題に興味を示さなくなった,21世紀こそ,神経科学の時代だと言われているのに…….
では,どうすればよいのか?
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