視座
整形外科領域の職業被曝と患者被曝について考える
出村 諭
1
Satoru DEMURA
1
1金沢大学整形外科
pp.1067
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408203091
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整形外科医療において放射線検査は欠かせないものであり,診断から治療まで幅広く使用されている.また整形外科領域での低侵襲治療の発展に伴い,放射線を併用した手技も増加傾向にある.一方,放射線被曝に伴う手指の皮膚障害や発がん,白内障の発生など,負の影響も以前より報告されており,近年,患者側・医療者側双方の関心も高まってきている.放射線被曝は,職業被曝,医療(患者)被曝,公衆被曝の3つに分類されており,われわれ整形外科医がコントロールできるのは前二者である.
職業被曝は,医療従事者の年間の線量限度が定められている.しかしフィルムバッジのついた体幹に比べて,整形外科医は手指の被曝が多い不均衡被曝となっているとの報告がある.その中でも術中X線透視を多く使用する整形外科外傷分野,神経根ブロックや脊髄造影などの診断に加え,近年増加している経皮的椎弓根スクリュー挿入や経皮的椎体形成術,側方椎体間固定術などを行う脊椎外科分野の職業被曝は大きいとされている.まずは防護具着用の徹底を基本に,術中透視を使用する際はone shot照射とすること,パルス線量の調整,照射野を絞ること,透視装置の管球と立ち位置の対応などが整形外科医に求められる.
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