特集 がん時代の整形外科必携! 骨転移診療アップデート
緒言
河野 博隆
1
Hirotaka KAWANO
1
1帝京大学医学部整形外科学講座
pp.1411
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202839
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骨転移と聞くと身構えてしまう整形外科医は多いと思います.これまで長きに渡り整形外科医にとって,「がん」は専門家が対応する特殊領域でした.日本では,医療の発展によりがん以外の要因での死亡が減り,男性の3人に2人以上が,女性の2人に1人以上が生涯で一度はがんに罹患するがん時代を迎えました.がん患者数が増加しているばかりでなく,がん治療の進歩に伴って,がんを持ったまま生活する期間が大幅に延長しています.多くのがんで骨転移が発生し,骨転移を持ったまま生活している方も激増しているのです.
骨転移は疼痛の原因になるばかりでなく,病的骨折や脊髄麻痺が生じると移動が困難になり,日常生活は大きく制限されます.がんが影響して移動機能に障害がある状態は「がんロコモ」と定義され,がん患者の生活だけでなくがん治療の継続にも大きな影響を及ぼすことが明らかになりつつあります.骨転移は,このがんロコモの大きなテーマの1つです.
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