特集 二次骨折予防に向けた治療管理
緒言
石橋 英明
1
Hideaki ISHIBASHI
1
1医療法人社団愛友会伊奈病院
pp.237
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202574
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1990年代に英国Glasgow地域で始まったFracture Liaison Service(FLS:骨折リエゾンサービス)は,骨粗鬆症性骨折の最も有効な再発予防策として欧米に広がった.わが国においても骨粗鬆症性骨折が増え続ける中,2012年にOsteoporosis Liaison Service(OLS:骨粗鬆症リエゾンサービス)が日本骨粗鬆症学会を中心として始まった.OLSは二次骨折(再骨折)の予防だけでなく,一次骨折(初発骨折)や骨粗鬆症そのものの予防や治療も含む取り組みである.FLSと同様,OLSも多職種で進めることが特徴で,わが国においては骨粗鬆症マネージャーと呼ばれる認定資格者が中心となってOLSが実践されている.
しかし,OLSの取り組みがさらに広がるためには大きな課題があった.それは,診療報酬に反映されることである.英国では大腿骨近位部骨折の周術期管理や骨粗鬆症の評価をすることに対して診療報酬(Best Practice Tariff)が設定され,FLSがさらに広がり,死亡率や骨折率の低下に寄与した.わが国においても同様な診療報酬が設けられることを望む声は大きかった.そして,満を持して2022年4月から「大腿骨近位部骨折に関わる二次性骨折予防継続管理料」「大腿骨近位部骨折に関わる緊急固定加算・緊急挿入加算」が新設された.これはOLS/FLSにとって本当に大きな進展であり,諸先生のご尽力に心から敬意と感謝を述べたい.多くの施設がこの診療報酬を算定し,これを契機にさらに多くの施設がOLS/FLSを実施していただければと思う.
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