視座
医師に必要な英語力?—医学部博士課程入学試験作成を通じて
今釜 史郎
1
Shiro IMAGAMA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学/リウマチ学
pp.219
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202269
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本稿を執筆している年始の連休,私は150名ほどの医学部大学院博士課程外国語入学試験(後期)の採点に追われている.今年度の当大学医学部大学院の外国語入学試験担当に抜擢され,前期と後期併せて300名弱の英語試験の作成と採点に従事した.整形外科医である私が300名の英語記述試験を1人で平等に採点することにも気を遣うが,試験作成も私に任されるとあって,その出典や設問にも頭を悩ませた.
振り返れば私が大学院試験を受けた16年前,臨床医には不慣れな基礎医学の英語問題もあり,なかなか難しかった記憶がある.その後さらに試験が難しくなり,合格率が一時大幅に低下したことも話題になっていた.そこで私は,皆が知っている新型コロナウイルスの話題を題材にすることにした.それもウイルスの基礎的な話でなく,文脈を理解しやすい「世界のパンデミック警報システムが機能しなかった理由」(前期試験)と「COVIDワクチンの現状と今後」(後期試験)がテーマである.いずれもNature誌から引用し,示唆に富んだ内容であった.臨床医も研究医も国際的な最新の知見を知るためには英語論文の内容を理解することが必須であり,英単語はwebでも簡単に調べることができる時代なので,読解力を問う設問を作成した.難しいと思われる英単語は英-英訳でglossariesを付した.しかし残念ながら採点結果は想定より悪いものであった.
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