特集 ロコモティブシンドローム臨床判断値に基づいた整形外科診療
緒言
松本 守雄
1
Morio MATSUMOTO
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
pp.121
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202248
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本邦では高齢化が急速に進行しており,直近の高齢化率は29.1%と3割に達しようとしています.生産年齢人口の減少,医療・介護などの社会保障上の負荷増大などにより,社会の持続性を維持することが困難となりつつありますが,これらの問題を解決するために高齢者の自立した生活,可能な限りの社会参加が望まれます.そのためには運動器が健全であり,自ら動けることが必要です.
ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,現在のような超高齢社会における運動器の重要性を予見し,2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です.その後,さまざまな知見が積み重ねられ,2013年に立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25質問票からなるロコモ度テストが提唱され,その後2015年にそれぞれのテストの臨床判断値が定められ,ロコモの定量的かつ科学的な評価が行えるようになりました.当初,ロコモ度は2までの設定でしたが,2020年にロコモ度3が策定され,手術などの整形外科的介入の効果の評価,ロコモとフレイルや運動器不安定症との関係の整理などが可能となりました.
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