誌上シンポジウム 胸椎OPLL手術の最前線
緒言
松本 守雄
1
Morio MATSUMOTO
1
1慶應義塾大学医学部整形外科
pp.4
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200715
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後縦靱帯骨化症(OPLL)は,1960年に月本により初めて報告された疾患で,1975年から厚生省(現 厚生労働省)の特定疾患に指定され,同年研究班が立ち上がり,全国規模での臨床的・基礎的研究が続けられてきた.先人のご努力により本邦はOPLLの研究・診療で世界のトップランナーとなっているが,一方で本疾患の病因はいまだ十分に解明されておらず,患者が脊髄症状を呈した場合の治療法は手術に限られているのが現状である.
OPLLはあらゆる脊椎高位に発生するが,今回取り上げる胸椎OPLLはその中でも最も手術治療が困難であり,脊椎外科領域における最後の難関の1つであると考える.胸椎は後弯を呈しているので,頚椎のように後方からの間接除圧の効果を得るのが困難で,むしろ単独の後方除圧は症状悪化のリスクが高く禁忌とされている.したがって,一部の上位胸椎OPLLを除いては何らかの固定術の併用が必要である.手術や脊髄モニタリングの技術が進歩した現在でも,一過性も含めた術後神経障害の発生頻度は30%前後もあるとされる.
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