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今回,「手外科と労災」の特集を組ませていただいた.手外科は第二次世界大戦における外傷治療から米国で発展してきたように,外傷は手外科の本質である.上肢外傷の多くは労働災害に起因する場合が多く,治療方法のみでなく,労働災害保険の法制度,後遺障害,再発,アフターケアなどに精通することは,労災を扱う医師にとって必要不可欠である.
本企画では,上肢労災外傷に経験豊かで造詣の深い先生方に執筆をお願いした.産業医科大学の酒井昭典先生には「労災保険の対象」にて外傷の認定(入口),後遺症障害(出口)の困難性,また手根管症候群などの業務起因性障害の認定について,新潟手の外科研究所の成澤弘子先生には「労災保険における治癒,再発,アフターケア制度および後遺障害」にて労災保険終了後のケアについて,横浜労災病院の三上容司先生には「手外科医だからみえる労災医療のpitfall」にて手外科専門医からの労災保険治療の問題点について,産業医科大学の善家雄吉先生には「手外科関連労災外傷の発生予防に対する取り組み」にて,労災予防学について,東北労災病院信田進吾先生には「労災の末梢神経障害」にて機能回復の問題点,CRPSの発生について,NHS新潟手の外科サービスの松崎浩徳先生には「労災による手指切断または不全切断の治療」にて再接着術および2次再建の問題点について,帯広厚生病院の本宮真先生には「農村における手外科外傷」にて農家に特有な上肢外傷の問題点について,兵庫県立総合リハビリテーションセンターの陳隆明先生には「労災患者に対する電動義手」にて職業リハビリのプログラムによる復帰促進について,大阪掖済会病院の五谷寛之先生には「重度手部外傷における骨軟部組織延長の有用性」についてと,埼玉慈恵病院・埼玉手外科マイクロサージャリー研究所の小平聡先生には「労災患者のマイクロサージャリーによる手指再建術」といった重度外傷の機能再建術について報告していただいた.
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