特集 ダメージ・コントロールとしての創外固定
緒言
澤口 毅
1,2
Takeshi SAWAGUCHI
1,2
1福島県立医科大学外傷学講座
2新百合ヶ丘総合病院外傷再建センター
pp.120
発行日 2021年2月25日
Published Date 2021/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201908
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ダメージ・コントロール(damage control)とは,物理的な攻撃・衝撃を受けた際に被害を最小限におさえるためにとる対策のことであり,元々は軍事的概念で敵の攻撃などによって艦艇が損傷を被った際,その被害が広がらないように施される事後の処置のことである.現在では自動車分野,医療分野,格闘技などのスポーツでも使用されている.医療分野では重度外傷において侵襲の大きい根治的手術の侵襲が加わると,致死的になりかねない場合に,呼吸と循環に関わる損傷の治療を最優先し,それ以外の部分は全身状態がよくなってから二期的に手術を行うdamage control surgery(DCS)としての概念である.
整形外科分野では,骨盤骨折や多発外傷において一期的に根治的固定を行わず,創外固定などを用いて骨折部を安定化させ,全身状態の回復を待って根治的固定を行うdamage control orthopaedics(DCO)の概念が普及している.また関節周囲骨折などで局所の軟部組織に重大な損傷がある場合,創外固定により骨折部を安定させ,軟部組織の回復を待って最終内固定を行うlocal damage controlが行われている.
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