連載 やりなおし! 医療制度 基本のき・12【最終回】
応招義務と医師の働き方改革
奥村 栄次郎
1,2
1日本臨床整形外科学会
2奥村整形外科
pp.1350-1351
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201869
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応招義務の解釈が変わった.「診療に従事する医師は,診療治療の求があった場合には,正当な事由がなければ,これを拒んではならない」という医師法19条1項の解釈は,昭和24年厚生省通知が長きにわたり基本であった.しかし,これが勤務医の過重労働の要因になっていることと,昭和24年当時とは国民への医療提供体制が著しく変わったことから,令和元年12月25日厚生労働省通達により解釈の基本が変わったのである1).
旧解釈では,休診日であっても急患に対する対応は解除されるものではないとされていたが,新解釈では,診療時間外・勤務時間外であることを理由に診療を拒否しても応招義務違反に当たらないと,正反対の要件変更となった.他に新解釈には,応招義務は医師が国に対して負担する公法上の義務で,患者に対する私法上の義務ではないということと,医師が労働基準法に違反することを理由に診療を拒否しても応招義務違反に当たらないということが明記された.
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