特集 整形外科の職業被曝
緒言
伊藤 淳二
1
Junji ITO
1
1青森県立中央病院整形外科
pp.108
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201584
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放射線は整形外科医にとってなくてはならない診断ツールである.放射線の恩恵として,小さい侵襲で治療を受けられる患者は「医療被曝」として受け入れることができる一方で,整形外科医自身は被曝による放射線障害が生ずる「職業被曝」であり,手指に皮膚がんが発生し労働災害として認定される事例が報告されている.放射線は有用性と有害性の両者をもつ諸刃の剣であり,うまく使いこなさなければいけない.
今回,放射線利用に造詣の深い先生方に各方面からお考えをお寄せいただいた.まず三浦富智先生(弘前大学)からは整形外科医の手指への慢性被曝で起こる染色体異常についてお示しいただき,大野和子先生(京都医療科学大学)には放射線誘発白内障の予防のため水晶体被曝線量の引き下げについて解説していただき,浅利享先生(弘前大学)には同教室員の放射線被曝の実態調査の結果について詳しくお示しいただいた.現場での対応として,森圭介先生(長崎大学病院外傷センター)には外傷手術における被曝リスクと対策について,山下一太先生(徳島大学)には脊椎手術における被曝の実態と防護法について,船尾陽生先生(国際医療福祉大学)からは放射線使用が必須の脊椎低侵襲手術における実態と被曝低減への工夫について,石垣大介先生(済生会山形済生病院)には手外科における職業被曝の実際と対策について実際の手技とともに詳しくお示しいただいた.
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