Japanese
English
症例報告
舟状骨偽関節後のDISI変形に伴う遅発性正中神経麻痺の1例
Tardy Median Nerve Palsy Associated with DISI Deformity after Nonunion of the Scaphoid
森田 浩介
1
,
高木 岳彦
2
,
小林 由香
1
,
渡辺 雅彦
1
Kosuke MORITA
1
,
Takehiko TAKAGI
2
,
Yuka KOBAYASHI
1
,
Masahiko WATANABE
1
1東海大学医学部外科学系整形外科学
2国立成育医療研究センター臓器・運動器病態外科部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Surgical Science, Tokai University School of Medicine
2Department of Orthopaedic Surgery, National Center for Child Health and Development
キーワード:
舟状骨偽関節
,
scaphoid nonunion
,
DISI変形
,
DISI deformity
,
手根管症候群
,
carpal tunnel syndrome
Keyword:
舟状骨偽関節
,
scaphoid nonunion
,
DISI変形
,
DISI deformity
,
手根管症候群
,
carpal tunnel syndrome
pp.1069-1074
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201497
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今回われわれは舟状骨骨折後30年経過し,偽関節,DISI変形に伴う遅発性正中神経麻痺を認めた症例を経験したので報告する.
45歳女性,約30年前に転倒し右手関節痛を生じた既往があり,半年前から右手指掌側のしびれを自覚した.右母指〜環指橈側のしびれと感覚鈍麻,snuff boxの圧痛を認めた.単純X線像では骨硬化像を伴う舟状骨腰部骨折Herbert Type D2,DISI変形を認めた.電気生理学検査では正中神経の遠位潜時の延長と伝導速度の低下を認めた.舟状骨偽関節のDISI変形に伴う手根管症候群と診断し,舟状骨偽関節手術,手根管開放術を施行した.月状骨の掌側への突出がみられ,これにより正中神経が圧迫されたものと考えられた.術後,手指しびれは改善を認め,術後6カ月で遠位潜時,伝導速度ともに正常範囲内に改善された.術後1年の現在,画像上舟状骨の骨癒合が得られ,月状骨の矯正位が維持されていた.DASH scoreにおいても改善がみられた.
舟状骨骨折後の偽関節はDISI変形を伴うことが知られているが,月状骨の掌側転位により受傷後長期経過で手根管症候群の症状を呈する,いわゆる遅発性正中神経麻痺の状態になることを念頭に置かなくてはならない.
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