誌上シンポジウム 整形外科治療の費用対効果
緒言
山下 敏彦
1
Toshihiko YAMASHITA
1
1札幌医科大学医学部整形外科学教室
pp.766
発行日 2019年8月25日
Published Date 2019/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201432
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2016年度の国民医療費は約42兆1,300憶円にのぼる.近年の医療費増大のペースは急速であり,この10年間におよそ10兆円も増加している.医療費は,今やわが国の財政を逼迫させる主要因の1つと目されている.医療費高騰の原因としては,「高齢社会」とならんで,「医療の高度化」が指摘されている.すなわち,近年の高額な新薬の登場や高額機器を用いる先進医療技術が,医療費を釣り上げているとされている.
このような状況を背景に,新たな薬剤や技術を盲目的に導入することや,従来からの医療を漫然と継続することへの警鐘が鳴らされている.そして,治療に要するコストが,果たしてその治療効果に見合うものなのかが問われ始めている.すなわち,治療の「費用対効果」の分析が様々な医療分野において進められている.
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