誌上シンポジウム 足部・足関節疾患と外傷に対する保存療法 Evidence-Based Conservative Treatment
緒言
熊井 司
1
Tsukasa KUMAI
1
1早稲田大学スポーツ科学学術院
pp.124
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201275
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足部・足関節に発生する疾患は,近年の生活様式の欧風化とともに急増しており,日常診療においてより適切な治療が求められるようになってきています.直立二足歩行を特徴とするヒトにとって,足の痛みはすべての運動の基本ともいえる「立つこと」,「歩くこと」に大きく影響を与えることになり,就労やスポーツといった足に負荷のかかる局面だけでなく,日常の生活動作への支障も計り知れないものがあります.
そういった足部・足関節疾患で来られる患者さんに対し,first responderとなる整形外科医が,その場でできる治療はいったいどういったものなのでしょうか.整形外科の多くの教科書には,さまざまな手術の適応や成績,術式が詳細に記載されていますが,第1選択になるべき保存療法については,ごく簡単な記述にとどまっていることがほとんどです.病院で容易に手術を選択することのできる勤務医にとっては,確かに有用な情報かもしれませんが,外来診療での治療が要求される開業医やクリニックでの整形外科医にとっては,直接の治療にあまり生かされません.足の疾患の保存療法にはどういったものがあるのか.その中で病期や進行度によって最適な治療法はどの方法なのか.治療によってどういった経過をたどるのか,疑問は尽きません.
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