誌上シンポジウム 外傷後・術後骨髄炎の治療
緒言
松下 隆
1,2
Takashi MATSUSHITA
1,2
1福島県立医科大学外傷学講座
2綜合南東北病院外傷センター
pp.360
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201073
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どのような手術であっても術後感染症をゼロにすることは不可能である.そのことは,骨折を中心とする運動器外傷の手術においては,骨髄炎の発生をゼロにすることはできないということを意味する.骨髄炎は難治性であり,慢性化すると病巣の完全切除と骨欠損の補填しか確実な治療法はない.
今回の誌上シンポジウム「外傷後・術後骨髄炎の治療」を企画するにあたって,比較的初期の慢性化する前の骨髄炎の治療法については新倉隆宏先生にまとめていただき,病巣の完全切除を行わない持続洗浄療法と高気圧酸素治療の併用法について,数多くの症例を治療してこられた川嶌整形外科病院で田村裕昭先生に書いていただいた.「マイクロサージャリー」,「Masquelet法」,「骨延長術」を用いた治療法は,感染は病巣を完全切除することによって根治するという点においては同じであり,切除によって生じた骨欠損を補填する方法だけが異なっている.それぞれの方法について「マイクロサージャリー」は土田芳彦先生に,「Masquelet法」は渡部欣忍先生に,「骨延長術」は加藤成隆先生に執筆をお願いした.いずれも各々の治療法について豊富な知識と治療経験があり,その治療法を熟知されている.
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