誌上シンポジウム 成人脊柱変形の目指すポイント PI-LL≦10°,PT<20°はすべての年齢層に当てはまるのか
緒言
松山 幸弘
1
Yukihiro MATSUYAMA
1
1浜松医科大学整形外科
pp.422
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200810
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2012年に国際側弯症学会(SRS:Scoliosis Research Society)において,Schwabらが成人脊柱変形の分類(SRS-Schwab classification)を報告し,矢状面アライメント評価としてPI-LL(PI:pelvic incidence,LL:lumber lordosis),SVA:sagittal vertical axis,PT:pelvic tiltの評価とHRQOLを保つための目標値「PI-LL≦10°,SVA<40mm,PT<20°」を提唱してから日本でも注目を浴び,そして成人脊柱変形に対する手術治療ゴールの1つの目標値として手術治療が多く行われるようになった.ただ,この指標はあくまでも体型や生活様式がアジア系の患者と全く異なる欧米人のデータを基にして作成された目標値であった.
また,われわれが対象としている成人脊柱変形患者の中には,椎体骨折を伴った脊柱後弯症や,対象年齢も高く骨粗鬆症を合併している患者も多い.このような背景のもと,日本からもわれわれ日本人の体型や年齢,骨粗鬆症の状態,そして生活様式や活動性を考慮した手術目標値の設定が必要と考える.
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