最新基礎科学/知っておきたい
触覚受容と痛み
池田 亮
1
Ryo IKEDA
1
1東京慈恵会医科大学整形外科学講座
pp.72-75
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200729
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はじめに
触覚は,何気ない日常生活を営むために必要不可欠な感覚である.より複雑な触覚応答を獲得するために,機械刺激の検出センサーは単純な神経終末単体から特殊な構造の感覚受容器へと進化した.人間の指やげっ歯類の洞毛など鋭敏な応答を必要とする器官を中心に,皮膚のあらゆる場所に存在するMerkel触盤は,二点識別ややさしい触覚などの繊細な認識を担う最も感受性の高い特殊触覚受容器である1).神経障害や組織障害で生じる触覚性疼痛は,触刺激の伝達メカニズムが破綻し,やさしい触刺激が耐えがたい痛みを惹起することから,その病態を理解するためにも,Merkel触盤の触覚検出機構は長らく注目されてきた.本稿では,触覚受容器Merkel触盤で明らかになった研究成果を中心に,触覚受容と疼痛に関連する機械刺激応答分子機構について概説する.
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