特集 世界にインパクトを与えた日本の整形外科
脊椎カリエスに対する腹部前方アプローチ
清水 克時
1,2
1岐阜市民病院整形外科・脊椎センター
2岐阜大学
pp.1168-1169
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200403
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概要
世界最初の前方腹膜外アプローチによる腰椎カリエスの根治的治療は,京都帝国大学整形外科学,伊藤弘(いとうひろむ)教授(図1)らが1934年に発表した(Ito H, Tsuchiya J, Asami G:A new radical operation for Pott's disease. J Bone Joint Surg 16, 499-515, 1934).
1932年4月から9カ月間に行われた10例の手術で,costotransversectomyによるアプローチなどとともに,6例の腰椎前方腹膜外アプローチによる根治的手術(膿瘍掻爬,腐骨切除)が記載されている(図2).10例中8例で創は一時的に癒合し,進行期のカリエスであったにもかかわらず全例,術後臨床成績は良好であった.さらに,骨移植による一期的椎体再建法が紹介され,3例に行われている.この報告は腰椎カリエスの根治的治療の嚆矢であるとともに,腰椎前方アプローチの先駆的論文である.
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