書評
『腰痛 第2版』
折田 純久
1
1千葉大大学院・整形外科学
pp.611
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408103097
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腰痛は国民愁訴で第1位を占める慢性疾患である.しかしながら,その発症機序や病態は十分にわかっておらず,病態や治療のすべてが科学的に構成されたものではない.その結果,治療成績は停滞し腰痛の治療成績に向上は認められていない.
本書は,わが国の腰痛研究の第一人者としてこの分野をけん引されてきた編著者の菊地臣一先生の衝撃的な告白から始まる.腰痛研究の重鎮の独白には,現代の腰痛診療に携わるわれわれの発奮と自戒を促すに十分な重みと深みがある.目覚ましい近代化と医療技術の発展が進む現代において,その全容が全くと言っていいほど不明である腰痛という病態は,むしろそのコントラストと存在感を強め挑発的にわれわれの眼前に未明の深海のごとく横たわっているのである.
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