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整形外科領域のデバイスラグの代表であったリバース人工肩関節が昨年9月にようやく厚生労働省によって認可され,今年4月から使用可能となる予定です.肩関節外科医にとっては待ちに待った人工関節です.素晴らしいことです.現在わが国で認可されている肩の人工関節は,腱板が広範に欠損した肩関節には適応はありません.リバース型人工肩関節は腱板機能の障害を伴う関節が大きく破壊された症例に対して使用できる人工肩関節であり,現在では安定した成績が報告されています.近年では近隣諸国でも認可され,世界的に標準的な治療法の一つとなっています.しかし,本術式は適切に施行されないと合併症が高率に発生することも知られています.本手術の適応を適切に選択することが重要です.昨年5月,日本整形外科学会は「リバース型人工肩関節全置換術のガイドライン」を策定しましたが,このガイドラインの存在が,本品が国内で治験されずに厚生労働省で認可された一つの理由になったことは間違いありません.ただし,本術式を行うには,腱板断裂などの肩関節手術に習熟していること,日本整形外科学会が認定する講習会の受講することなどが必要です.
本誌視座「留学ノススメ」で秋山治彦先生は「日本に戻ってから,違う角度や価値観で日本の医学・医療を考えることができ,日本にいても,いつもglobalを意識して仕事に取り組む姿勢が生まれます.」「留学は,整形外科学における先端的,独創的な技術を獲得することだけが目的でなく,外国の自然,社会,文化などに対する深い見識をも育みます.世界に通用する豊かな国際性を備えた整形外科医が,これからの日本の整形外科学を発展させて行くことを期待したいと思います.」と述べられています.グローバル社会と言われているにもかかわらず,最近,留学を志す医師数の減少が続いています.視座を読まれて留学へ目を向ける医師が少しでも増えることを期待しています.
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