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あとがき
高岸 憲二
pp.930
発行日 2012年9月25日
Published Date 2012/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102467
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猛暑が続いていますが,ロンドンオリンピックでの日本選手の活躍をテレビで観戦して元気をもらった人も多いのではないでしょうか? 「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」との考えに立ったスポーツ基本法が2011年に成立してから最初のオリンピックです.たくさんのメダルの獲得が期待されます.
今月号の視座では,東京医科歯科大学の大川 淳先生が「医療安全をめぐる患者との齟齬」と題して病院の安全管理の立場から意見を述べておられます.『医療事故』の定義は国立大学附属病院長会議においては,過失の有無に関わらず診療上患者に発生した死亡,生命の危険,病状の悪化などの身体的被害・苦痛などとされていますが,国民にとってはいまだに過失とイコールと考えられている,と述べられています.実際に起こった事故を,一般の人は医療事故と思い,場合によっては医療側の過失があるのではないかと考えます.しかし,調べてみると病気のために不可抗力の事故も多くあります.インフォームド・コンセントが十分になされていても,いったん事故が起こると治療を受けるのではなかったなどとクレームがつくこともあります.それを防ぐためにも患者との信頼関係を築き上げることが重要ですが,多くの医療機関で入院期間の短縮を目標の一つにあげており,信頼関係を築くことも次第に困難になっています.
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