Japanese
English
Lecture
痛みと脊髄刺激療法
Pain and Spinal Cord Stimulation
長谷川 理恵
1
,
井関 雅子
1
Rie HASEGAWA
1
,
Masako ISEKI
1
1順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座
1Department of Anesthesiology and Pain Medicine, Juntendo University School of Medicine
キーワード:
脊髄刺激療法
,
spinal cord stimulation
,
SCS
,
術後腰痛
,
failed back surgery syndrome
Keyword:
脊髄刺激療法
,
spinal cord stimulation
,
SCS
,
術後腰痛
,
failed back surgery syndrome
pp.135-139
発行日 2014年2月25日
Published Date 2014/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102963
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脊髄刺激療法の歴史・適応疾患・作用機序
脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は,知覚神経である太いAβ線維を刺激し興奮させることで,痛覚神経である細いAσ線維やC線維からの情報を脊髄後角内で抑制する,Melzackらにより提唱されたgate control説14)を応用し開発されたものである.実際には,経皮的もしくは観血的に目的とする脊髄後索に一致するよう硬膜外腔に電極を留置し,リード,アダプタを介在して体内に埋め込んだ刺激装置から電気刺激を後索へと送ることで,痛みを緩和する治療法である(図1,2).臨床では,1967年にShealyら18)が直視下手術で硬膜外腔から脊髄後索に電気刺激を行い,痛みが軽減することを報告したのが始まりで,以後,さまざまな方法やデバイスが開発され発展し現在に至る.
Gate control理論が展開された当時,SCSは脊髄ニューロンを介する種々の痛みに対する効果が期待されたが,現在,SCSが特に有効と考えられる疾患は,術後腰痛(failed back surgery syndrome;FBSS)や複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome;CRPS)をはじめとする神経障害痛(および混合痛)が中心となっている21)(表1).
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