誌上シンポジウム 軟骨再生―基礎と臨床
緒言
黒坂 昌弘
1
1神戸大学大学院医学研究科・外科系講座・整形外科学
pp.772
発行日 2010年9月25日
Published Date 2010/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101789
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本号では,整形外科医が直面する数ある臨床症例における問題の中で,最も解決策に苦心し,また治療成績上にも問題が残る軟骨損傷,変性などに対する治療を中心に軟骨再生の現状を誌上シンポジウムとして取り上げました.臨床の問題点に加えて,基礎的な将来的な展望に関しても,それぞれ第一線で活躍しておられる先生方に,最新の情報を提供していただきました.
軟骨の損傷は治癒しないとされており,加齢や種々の力学的環境の問題によって,今後ますますその頻度は増加の一途をたどると考えられます.過去の整形外科研究の歴史を見ても,本疾患に対する治療の開発,挑戦は枚挙にいとまがありません.疾患自体が軟骨の退行変性疾患であるため,治療にはアンチエイジングに対応するに等しい困難性があります.したがって,治療そのものがどれだけの効果を発揮しているのかの判定を含めて,客観的な効果判定には多くの問題を残していると言わざるを得ません.それでも近年の整形外科研究の進展で,種々の先進的な治療法も開発されています.本シンポジウムでは,種々の治療法を網羅して取り上げて,治療の問題点を浮き彫りにしています.
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