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あとがき
菊地 臣一
pp.946
発行日 2008年9月25日
Published Date 2008/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101369
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外来と手術には参加させてもらっていますが,本年4月から今までとは全く違ったポストで働いています.新しい人生の扉を拓いてもらうと,いろいろな感慨が脳裡に去来します.歳月は人を待たず,真に「盛年重ねて来たらず,一日再び晨なり難し(陶淵明)」を実感しています.
医師としての人生を振り返ると後悔ばかりが先に立ちます.ただ,その後悔に折り合いをつけて歩くのが人生だとも,今,感じています.そして,医療に関連した様々な仕事を体力,気力の勢いのままやってきた結果,森鴎外の「この役が即ち生だとは考えられない.背後にある或る物が真の生ではあるまいか」という迷いが,実感として理解できます.60歳を過ぎて初めてこんなことが理解できるとは,余りにも遅きに失していますが.学生や研修医には,常々「医師としての青春時代は長くない.後から考えると一瞬なので,限界を越えたところで努力しなさい」と言ってきた自分ですが,人生も同じようなものだと思います.
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