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あとがき
菊地 臣一
pp.300
発行日 2007年3月25日
Published Date 2007/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101077
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2月,玄関には李朝の壺に水仙を投げ入れ,去年亡くなった母の遺影には菜の花を飾っています.季節の移ろいを身近に感じたいのは,「人生はやり直すことなど出来ない」ということを知る年齢になったせいでしょうか.
昨今のマスメディアを賑わせている情報に接して,プロフェッショナルな職業としての医療人の内と外に崩壊の予兆を感じるのは私だけではないのではないでしょうか.もちろん,社会規範の弛緩がその基底にあります.それにしてもIT化の影響による患者や関係者との意思疎通能力の劣化,professionalism(目的に対する単純で強固な意志,低い水準で満足することの拒否,骨身を削る努力:ディック・フランシス)の欠如を思わせる,「修業とは矛盾に耐えること」を放棄した安直な研修,医療人以前の社会人としてのモラルの欠如による破廉恥な犯罪など,枚挙に暇がないほどです.
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