最新基礎科学/知っておきたい
関節リウマチの疾患関連遺伝子PADI4
山本 一彦
1
1東京大学医学部アレルギーリウマチ内科
pp.592-594
発行日 2008年6月25日
Published Date 2008/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101306
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■関節リウマチの遺伝要因
関節リウマチ(RA)は,関節滑膜を中心とする全身性の自己免疫現象と炎症を特徴とし,滑膜細胞の異常増殖と骨,軟骨破壊に至る原因不明の慢性疾患である.発症や病態の進展には,複数の遺伝要因1)および環境要因が関連する,いわゆる多因子疾患の一つである.遺伝要因に関しては主要組織適合遺伝子複合体HLAがもっとも寄与度は大きいとされているが,それ以外の非HLA領域の遺伝要因の検索は,病態の解明と新しい治療法の開発に重要である.近年,主として遺伝疾患で解析されてきた疾患に関与する遺伝子解析が,種々の方法の発展から,ありふれた疾患でも可能となりつつあり,原因に関係する遺伝要因が明らかとされつつある.
免疫応答におけるHLAの重要性はすでに多くの報告がある.RAに関してはクラスⅡ分子のHLA-DR1,DR4が関連を示すことが従来から知られている.さらに,DR抗原のβ鎖をコードするHLA-DRB1の対立遺伝子の*0101,0401,0404,0405などが関連していることが明らかになっている.そして,これらの対立遺伝子において超可変領域に相当する第70-74残基がQ/KRRAAという共通のアミノ酸配列(shared epitope)であることが判明し,「shared epitope仮説」が提唱された2).このことから,shared epitopeをもつクラスⅡ分子が,RA特異抗原を提示しやすいのではないかという可能性が考えられる.
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