視座
「先生ならどうされますか?」
石黒 隆
1
1いしぐろ整形外科
pp.1485-1486
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100884
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最近の学会に参加して,手術的治療に偏った報告が多いと感じられている先生は多い.整形外科医であれば誰でも治療する機会のある橈骨遠位端骨折に関し,2000年(平成12年)から2003年(15年)にかけての治療に関する演題数を調べてみた.日本骨折治療学会では手術的治療61題に対し保存的治療が12題,日本手の外科学会にいたっては手術的治療69題に対し保存的治療はわずかに4題であった.
診断技術の進歩や新しい医療材料の出現は骨折治療にとって非常に有用である.しかし,その一方でX線写真などによる見栄えを重視した発表が多くなり,手術適応の拡大のしすぎではないかと心配している.本来であれば保存的に治療すべきと思われる症例も手術的に治療され,質問も治療方針には触れず手技的なことに終始していることが多い.最後に座長が「症例を増やして,またご報告ください」と締めくくるのをみれば,手術的治療が当たり前のような印象を持たれても仕方がない.学会での発表と日常診療とがかけ離れた印象を持たれて本当によいのであろうか.
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