整形外科/知ってるつもり
運動器不安定症
戸山 芳昭
1
1慶應義塾大学医学部整形外科
pp.130-132
発行日 2007年2月25日
Published Date 2007/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100850
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■未曾有の高齢化現象
2006年現在,わが国の65歳以上の高齢者は実に2,640万人となり,これは全国民の20%,5人に1人の割合である.この高齢者比率はアメリカ,カナダ,そしてフランス,ドイツ,最後にイタリアを抜いて遂に世界一となった.さらに10年後には何と3,300万人,実に4人に1人が高齢者になると推定されている.また,75歳以上の超高齢者の割合も10%を超えている.その反面,15歳以下の小児の比率は13%と完全な少子化時代に入っており,当然,生産年齢人口の激減が予想されている.このように年齢分布でみる限りわが国は超スピードで高齢化現象が進んでおり,その対策が急務である.
その実態は医療費にも顕著に現れており,老人医療費が12兆円,そして介護給付が6兆円を超え,医療関連費の50%弱が高齢者医療に費やされているのが現状である.2000年4月からスタートした介護保険制度も,当初の総対象者数は218万人で,介護の軽い要支援と要介護1が84万人であった.その総給付費は3兆6千億円であったが,2006年3月時には総対象者数が456万人に,そして要支援などの軽度要介護者は224万人と急増し,その結果,総給付費は6兆5,000億円まで膨れ上がり,医療財政が大きく圧迫されている状況となった.このため,急遽2006年4月から介護保険制度は見直され,軽度の要介護者は介護給付から離されて予防給付として対応することになった.
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