連載 医療の国際化 開発国からの情報発信
海外医療ボランティア活動記(3)―クルド その1
藤塚 光慶
1
,
藤塚 万里子
2
Mitsuyoshi Fujitsuka
1
,
Mariko Fujitsuka
2
1松戸市立病院
2松戸市健康福祉本部
pp.806-808
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100738
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クアラルンプール(マレーシア),ドバイ(アラブ首長国連邦)を経由してイスタンブール(トルコ)へ到着したのは1993年12月の半ば,成田を出発して20時間後であった.いつものように,最も安い運賃の便を使うので,乗り継ぎが多く時間がかかるのは仕方ない.今回はトルコの東の町,ディアルバクルを経てイラクへ入国するので,そのまま国内線のターミナルまでタクシーで行った.わずか5~6分の距離に5万TL(トルコリラ)といわれびっくりしたが,400円程度であった(1ドルが1万4288TL,100円が1万2400TL).サンドイッチも3万リラで,50万リラ札を出して釣を勘定するのも大変だった(以前,イタリアに行った時に,やはりインフレで何かを買うにも何十万単位であったが,最近はユーロでわかりやすくなった).空港のセキュリティーチェックは厳重で,小外科器械のセットも開けさせられ,ジャックダニエルの蓋も開けて匂いを嗅ぎ,本当にウイスキーであると確認して通してくれた.
シリア,イラク,イランに接する国境の街「ディアルバクル」に着いたのは午前9時,丸1日がかりでようやく到着したこの街にはクルド人が多く住み,特有なダボダボのズボンの上から腰に布を巻き付け,男はみんな鼻の下にも顎にも髭を蓄えている.街にはほとんど緑が見られず,建物,道路すべての景色が灰色でまた埃っぽい.
今回は,整形外科医である私と,われわれのNGOグループAVNのA氏の二人旅である.目的はイラク北部の難民キャンプで暮らしているクルド人を支援するためである.
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