専門分野/この1年の進歩
日本脊椎脊髄病学会―この1年の進歩
山本 博司
1,2
1高知医科大学整形外科
2第30回日本脊椎脊髄病学会
pp.1412-1414
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903433
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■脊椎脊髄由来の痛み(主題)
学会の主題として取り上げ,多くの新知見が発表された.椎間関節の侵害受容器は,腰仙椎部の他の受容器に比べ,有害刺激に対して感受性が高い(山下敏彦).椎間板ヘルニアなど神経根障害に起因する神経因性疼痛の発現には,髄核中に存在する炎症性サイトカイン(TNFα)が関与するが,これは腰髄後角ニューロンの過興奮を誘発する(恩田 啓).さらに,brain-derived neurotrophic factor(BDNF)が関与し,この発現調節にnerve growth factor(NGF)がかかわっていることが示された(小畑浩一).これらの電気生理学的,分子生物学的基礎的研究は,本態的な痛みの制御に道を開くものと思われる.
椎間板ヘルニアにおける神経根の血流を非接触型レーザー血流計で測定したところ,神経根のレーザー血流測定が症状改善のよい客観的な指標になることを示唆した(檜田伸一).腰椎変性疾患では髄液内のNO量が増加しており,症状の改善とともに,NO量も減少することが示された(木村慎二).神経原性疹痛患者の視床の活動性が,脳イメージング(SPECT)で客観的に評価され,急性期では痛みと反対側の活動が増加し,慢性期になるとそれが低下することがわかった(牛田享宏).
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