イラストレイテッドセミナー・16
はじめての腹会陰式直腸切断術 Lesson1
篠原 尚
1
1京都大学第2外科
pp.927-934
発行日 1995年7月20日
Published Date 1995/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905279
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1.術者は左に立ち,臍上5cmから恥骨上部に至る腹部正中切開を加える.皮膚切開をストマから遠ざけるために,臍の右側を回る.腹膜切開時には,S状結腸切除術のときと同様,下方で膀胱を損傷しないように気をつける.
2.S状結腸間膜および動静脈の処理を,先に連載した『はじめてのS状結腸切除術』に準じて行う.続いて,大動脈右縁に沿う後腹膜切開を下方に延長し,ダグラス窩の腹膜翻転部まで達せしめる.前半は大ケリー鉗子を,ダグラス窩を回るときは大動脈瘤鉗子を腹膜下に入れ,前立ちに電気メスで切ってもらう.総腸骨動脈から内腸骨動脈内縁に沿うコースをとると,腹膜欠損部が大きくならず後腹膜の修復が可能である.ダグラス窩では直腸の2〜3cm前方(膀胱側)を切開したほうが,後前立腺間隙(Denonvilliers筋膜の前面の層)に入りやすい.時には,腹膜を切開しただけで後前立腺間隙の白い綿のような組織か顔を出すことがある.大動脈瘤鉗子は先が強く彎曲していて,しかも榊原直角鉗子に比べて頑丈なので,Miles手術の際には非常に有用である.
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