臨床外科トピックス 消化器外科領域におけるサイトカインとその周辺・10
ケモカインによる癌治療の試み—IL-8遺伝子導入による抗腫瘍作用
広瀬 国孝
1
,
松島 綱治
2
Kunitaka HIROSE
1
1呉羽化学工業(株)生物医学研究所
2金沢大学医学部がん研究所薬理部門
pp.85-90
発行日 1995年1月20日
Published Date 1995/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905143
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はじめに
1989年,TepperらによるIL-4の癌細胞への遺伝子導入実験に端を発して,これまでに表1に示すサイトカインの抗腫瘍作用が遺伝子導入法により明らかにされた1).サイトカイン遺伝子導入癌細胞の増殖抑制は,産生されたサイトカインにより直接あるいは間接的に活性化されたTリンパ球(CD4,CD8)やマクロファージの癌組織への浸潤,殺細胞作用によると思われる.本稿では,筆者らが実施した好中球に対するケモカイン(走化性サイトカイン)の1つであるヒトIL−8の遺伝子導入実験を中心に,好中球の抗腫瘍作用に関して記述する.
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