特集 消化器癌切除材料取扱いマニュアル
食道癌切除材料の取扱い(1)
小野 由雅
1
,
鶴丸 昌彦
1
,
宇田 川晴司
1
,
梶山 美明
1
,
海上 雅光
2
,
秋山 洋
3
1虎の門病院消化器外科
2虎の門病院病理学科
3虎の門病院
pp.23-27
発行日 1993年1月20日
Published Date 1993/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905100
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はじめに
胸部食道癌の外科治療は,今日では頸胸腹部の三領域にわたるリンパ節郭清と切除再建術が,標準術式として広く行われている1).また,その治療成績の向上も確認され,さらにこの術式の普及とより良好な成績を得るための工夫が行われている.すなわち,この術式の範囲を越えて進展した超進行癌や,この術式に適応したにもかかわらず再発をきたす高悪性度癌の症例に対して,いっそう根治性を追求した拡大郭清や他臓器合併切除の術式が開発されている.また一方では,色素法の開発により,内視鏡検査で早期または表在癌症例を多く見出すことが可能となり,内視鏡超音波検査法の導入により,深達度やリンパ節転移状況の術前診断までが詳細に得られるようになってきている2).そして三領域郭清より得られるリンパ節転移の実態と再発形成が検討され,リンパ節郭清範囲の合理化も進められている.
今回私どもは,以上の認識のもとに現在行っている定型的三領域リンパ節郭清と切除を行った胸部食道癌症例の切除材料の検索のうち,特に切除直後に行う切り開きから伸展固定までの新鮮標本の取扱い法について,各過程で心がけている注意点と工夫について記述する.
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