特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている
Ⅴ.胆管癌治療のプロトコール
山梨医科大学医学部・第1外科
藤井 秀樹
1
,
松田 政徳
1
,
板倉 淳
1
,
飯野 弥
1
,
河野 浩二
1
,
宮坂 芳明
1
,
河野 寛
1
,
三浦 和夫
1
,
飯塚 秀彦
1
,
松本 由朗
1
,
大西 洋
2
Hideki FUJII
1
1山梨医科大学医学部第1外科
2山梨医科大学医学部放射線科
pp.155-164
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904266
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術前診療のプロトコール
1.術前患者の評価
①癌の進展度診断
胆管癌の進展度診断の基本となるのは直接胆管造影像である.胆道ドレナージ施行後に種々の体位で胆管を描出し,狭窄像,壁の不整像,硬化像などの変化を詳細に分析する.特に,壁の硬化像はその判読に熟練を要するが,癌の進展範囲の判定に最も重要な情報を与えてくれる.肝門部胆管癌では,肝側胆管への進展度の評価はその後の治療法の選択に際して最も重要な因子であり,特に尾状葉枝への進展の有無は,肝切除施行の適応決定に重要であり,肝内胆管をその区域ごとに1本ずつ同定することが肝要である.
胆道ドレナージ術の術式には,内視鏡的胆道ドレナージ術(endoscopic biliary drainage:EBD)と経皮経肝的胆道ドレナージ術(percutaneoustranshepatic biliary drainage:PTBD)が含まれる.PTBDに関しては,教室では全例ドレナージチューブの留置に成功しているが,肝内門脈損傷とその後の術中の肝動脈血流の遮断ないしは低下に起因すると考えられる,術後の損傷肝内門脈より末梢の領域の肝梗塞(図1),ならびに2回以上の穿刺による胆汁の腹腔内漏出と,それによると考えられる腹膜播種再発を経験するに至って,内科の協力を得てEBD,なかでも内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)を施行している.
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