私の工夫—手術・処置・手順
直腸切断術における右寄りの皮膚切開
安達 洋祐
1
,
北野 正剛
1
,
藤川 由美子
2
Yosuke ADACHI
1
1大分医科大学第1外科
2大分医科大学附属病院看護部
pp.353
発行日 2000年3月20日
Published Date 2000/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904060
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直腸がんに対する手術は,肛門を温存する低位前方切除術が第一選択である.しかし,進行がんが肛門近くにある場合は,腹会陰式直腸切断術の適応となる.一般に直腸切断術では,下腹部正中切開で開腹し,S状結腸ストーマは左下腹部に造設する1,2).ところが,小柄な日本人では,正中の開腹創とストーマが近いため,ストーマ装具の貼付やストーマケアに,少なからず支障をきたすことがある.これは,皮膚切開を臍の右側によけても,切開が正中にあるかぎり解決できない.
そこで私たちは,下腹部の右側に寄った斜めの皮膚切開を行い,切開創がストーマ造設部位から,十分に離れるよう工夫している.すなわち,臍の右で約2〜3cmの部位から,恥骨上縁の正中に向かって,弧状もしくはまっすぐの皮膚切開を行う.皮下脂肪を斜めに切り込み,腹直筋前鞘の正中にいたり,開腹は通常通り下腹部の正中で行う.したがって,以降の手術操作や術野の展開には全く影響しない.閉腹は通常通りに行い,皮膚の縫合糸の結び目は,ストーマと反対の右側になるようにする.
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