私の工夫—手術・処置・手順・44
直腸切断術における骨盤腔腹膜欠損の盲腸充填術
渡部 脩
1
,
岩瀬 博之
1
Hisashi WATANABE
1
1江東病院外科
pp.884-885
発行日 1998年7月20日
Published Date 1998/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903231
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直腸癌,骨盤内腫瘍に対する直腸切断術はごく日常的に行われている.このとき,腫瘍が広範に浸潤し他臓器合併切除を余儀なくされたり,側方郭清を十分行うために骨盤腔の腹膜が大きく欠損することがある.欠損が大きく腹膜の閉鎖が不可能なときにはそのままopenにしておく方法もあるが1),術後の感染,癒着,再発などを考慮すればpelvic floorの形成が推奨される.このために,小腸間膜後葉の縫い付け1),膀胱の利用2),メッシュの利用3),腹膜ハンモックの形成4)などが行われてきたが,われわれは従来とは違う方法として,肝彎曲部から回盲部までを授動し,盲腸を小骨盤腔に充填させている.ほとんどの場合,盲腸は何もしなくても癒着するが,縫着しないと稀に滑脱してしまうことがある.そこで必ず盲腸を腹膜端に3〜4針縫着している(図1,2).また虫垂炎のときにその処置に難渋することも予想されるので虫垂切除術を加味している.充填した盲腸の下には大網などは挿入せず,旧肛門部よりなるべくdead spaceを造らないように縫合し,ドレーンを入れておく.また腹腔にも念のためドレーンを縫着部近傍に挿入している.術後の注腸写真を示す(図3).
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