特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
4.消化器疾患
肝硬変
土本 寛二
1
,
芹澤 宏
1
Kanji TSUCHIMOTO
1
1北里研究所病院内科
pp.470-471
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903921
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基本的な事項
肝硬変は原因のいかんにかかわらず慢性肝障害の終末像であり,病理組織学的には肝細胞の持続反復する壊死に伴う炎症の結果,結合組織の増生と肝細胞の結節状再生を認めるものと定義される.原因としては本邦ではウイルス性(特にC型肝炎ウイルス)のものが圧倒的に多く,次いでアルコール性や薬剤性,また特殊型として免疫異常による自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis:PBC),日本住血吸虫症などの寄生虫,代謝異常によるものがある.肝硬変の病態は不可逆的進行性で,その病期は代償期と肝不全徴候を呈す非代償期とに分けられ,最終的に肝細胞癌合併,肝不全,消化管出血により死亡することが多い.したがって,肝硬変の診療では肝予備能の維持,肝細胞癌の早期発見と治療など肝関連の対応はもちろん,他疾患の合併時の適切な手術適応判断や術後管理が要求される.
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