特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
4.消化器疾患
慢性肝炎
吉岡 政洋
1
,
伊藤 貴
1
,
原 歩
1
Masahiro YOSHIOKA
1
1東京都国民健康保険団体連合会南多摩病院内科
pp.467-469
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903920
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疾患概念
慢性肝炎は第19回犬山シンポジウムにおいて,6か月以上肝機能異常とウイルス感染が持続している病態と再定義された1).慢性肝炎の原因ウイルスとして頻度の高いものは,B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)で,各々30〜40%,50〜60%である.近年G型ウイルスやTTウイルスの役割が注目されているが,詳細は未だ不明である.HBVによる慢性肝炎はキャリアー(垂直感染や生後3か月以内の感染により成立)から発症することがほとんどで,成人になって感染した場合は急性肝炎のみで慢性化することはまずない.近年,HBV免疫グロブリンやワクチンを使った母子感染の予防事業によりキャリアーは減少しており,B型慢性肝炎も減少していくことが予想される2).一方,C型肝炎は60〜80%が慢性化する.したがって今後の慢性肝炎ではC型肝炎の占める割合が増加すると考えられる.
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