特集 薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴と合併症の薬物療法
8.腎・泌尿器系
急性腎不全
熊谷 裕生
1
,
篠村 裕之
1
,
猿田 享男
1
Hiroo KUMAGAI
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.308-310
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903867
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基本的な事項
急性腎不全とは急速に腎機能が低下し,乏尿(尿量400ml/日以下)または無尿(100ml/日以下)となって高窒素血症が出現する症候群である1).尿量が保たれている非乏尿性腎不全もあるので注意を要する.発症機序から腎前性,腎実質性,腎後性に分けられ,治療方針も三者で異なる.腎前性は主に腎虚血が,腎実質性は尿細管上皮細胞に対する虚性が病因とされてきたが,最近,いずれの場合も様々なサイトカインや活性酸素がmediatorとなって腎微小循環や腎細胞障害を起こすと考えられるようになった2).
急性腎不全は早期に診断し,適切に治療すれば1週間から3か月の薬物治療や透析で回復し,透析から離脱しうる.当院での最近5年間の術後急性腎不全の透析症例の予後は,透析から離脱できたもの,救命されたが維持透析になったもの,死亡が3割ずつであった.
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