特集 薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴と合併症の薬物療法
6.呼吸器系
呼吸抑制,低酸素血症
羽白 高
1
,
西村 浩一
1
Takashi HAJIRO
1
1京都大学大学院医学研究科呼吸器病態学
pp.270-272
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903851
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はじめに
術後の呼吸器系の合併症は周術期の死亡率,疾病率と大きな関係があり,その予防および治療は重大な問題である.これまで文献で報告されている術後の呼吸器合併症の発症率は2〜70%と大きなばらつきが認められる.これは呼吸器合併症の定義が異なることや,対象となる患者の差によるもので,各研究間の結果の比較を難しくしている.
現在では術後の呼吸器合併症とは,呼吸器系に明らかな異常を認め,その異常が臨床上意味があるもので,また臨床経過に悪影響を与える疾病ないし病態であると考えられている.その定義に基づく重要な合併症としては無気肺,感染症(気管支炎,肺炎),遷延化した人工呼吸管理および呼吸不全,基礎にある慢性肺疾患の悪化,気管支収縮などが挙げられる.
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