特集 薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴と合併症の薬物療法
4.精神・神経系
せん妄(錯乱),興奮,不眠
辻 美隆
1
,
大久保 雄彦
1
,
竹内 浩紀
1
,
須藤 謙一
1
,
平山 廉三
1
Yoshitaka TSUJI
1
1埼玉医科大学第2外科
pp.264-265
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903848
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はじめに
手術患者では身体的ならびに精神的ストレスは大きい.そのため,周術期には精神不安定に陥り,せん妄(錯乱),興奮,不眠などが生じやすい.また,神経症や分裂病などの患者では手術を契機に病状悪化をみる症例も少なくない1).さらに,高齢者の術後せん妄は周術期管理のうえでも大きな問題である2).
せん妄は急性可逆性の精神障害である.これは錯乱状態と意識障害を特徴とするもので,情動が変わりやすく,幻覚や錯覚によって衝動的,非合理的,暴力的行動をきたすものと定義される3).せん妄発症の機序は未だ不分明であるが,高齢者手術の増加をみる今日,避けて通れない問題である.
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