昨日の患者
術後の精神錯乱
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.503
発行日 2018年4月20日
Published Date 2018/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212010
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高齢者では術後に,一過性の精神錯乱が生じることがある.付き添う家族は普段と異なる錯乱状態に困惑するが,患者の異常言動には自身の来し方が色濃く反映され,主治医としては興味が尽きない.
90歳代前半のNさんは,現役時代は小・中学校の教師を永らく勤め,退職後も地元の町の教育長として活躍した教育者であった.高齢ながら全身状態はすこぶる良好で,認知障害も認めなかった.また検査には協力的で,手術の説明でも理解が早く,とくに異議を唱えることもなかった.しかしながら全身麻酔下に腹腔鏡下結腸切除術を施行すると,術後に精神錯乱が生じた.
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