特集 薬物療法マニュアル
Ⅰ.救急患者の薬物療法
4.循環器系
不整脈
松居 喜郎
1
,
安田 慶秀
1
Yoshiro MATSUI
1
1北海道大学医学部循環器外科
pp.61-63
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903775
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主要症状,所見と診断
救急患者の不整脈出現時の訴えはその重症度にかかわらず個人差が大きく注意が必要である.一般に120回/分以上の頻脈性不整脈では動悸,胸部圧迫感,呼吸困難感などがみられ,50回/分以下の徐脈性不整脈ではめまい,目の前が暗くなり意識が遠のく感じ,全身倦怠感などの訴えが出てくる.約200回/分以上の高度の頻脈や,逆に30回/分以下の徐脈が急激に発症すると,心拍出量の減少とともに血圧低下,さらに脳組織への血流低下を起こし,一過性の意識消失や痙攣を起こすことがある(アダムス・ストークス〔Adams-Stokes〕発作).
救急の現場で心電図モニターで鑑別診断しなければならない最低限の不整脈として,アメリカ心臓病学会では,①洞性不整脈,②洞性徐脈,③心房性期外収縮,④発作性上室性頻拍,⑥心房粗動,⑥心房細動,⑦房室接合部調律,⑧心室性期外収縮(頻発性,多源性,R on T現象を含む),⑨心室性頻拍(トルサド・ドゥ・ポアントを含む),⑩心室細動,⑪心停止,⑫I度,II度(モビッツI型,II型),III度房室ブロックを挙げており,心電図上の特徴は覚えておく必要がある1)(図).不整脈の種類により治療戦略は異なり,薬剤治療,電気ショック,心臓ペースメーカーなどを組み合わせて治療する必要がある.
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