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特集 胃癌術後補助化学療法をめぐって
胃癌に対する術後補助化学療法におけるインフォームド・コンセント
Informed consent in postoperative adjuvant chemotherapy against gastric cancer
古川 俊治
1,2
Toshiharu FURUKAWA
1,2
1慶應義塾大学医学部外科
2慶應義塾大学法学部法学研究科
キーワード:
胃癌術後補助化学療法
,
インフォームド・コンセント
,
臨床試験
Keyword:
胃癌術後補助化学療法
,
インフォームド・コンセント
,
臨床試験
pp.1271-1278
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903298
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胃癌術後補助化学療法におけるインフォームド・コンセント(以下,IC)に当たっては,病名および進行程度,術後補助化学療法の内容,副作用の種類と発症率,他の術後補助療法と比較した場合の利益・不利益,予想される予後について,当該患者が重要視すると考られる事項が説明されなければならない.その際前提として,①stageⅡの60〜70%,stageⅢの40〜50%の患者は手術のみで治癒しており,そもそも術後補助療法一般が全く不必要である点,②仮に遺残癌細胞が存在する場合であっても,補助化学療法の奏効率は低率である点が明確にされなければならない.stageⅡ以上の患者には術後補助化学療法について一応の説明を行う必要があるが,stageⅠaの患者にはその適用がある旨の説明をすべきではない.胃癌術後補助化学療法を無作為割付比較対照臨床研究として実施する場合には,原則として新GCPに準拠したICが必要であり,一定事項について記載した説明文書を交付して説明した上,文書により同意を得る必要がある.一方,患者に治療法の選択決定が留保された臨床研究では,一般的対象事項の説明で足りるが,研究内容の合理性に加え,効果の不確実性と副作用の危険性についての慎重なICが必要である.
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