私の工夫—手術・処置・手順・33
腹腔鏡下虫垂切除術における美容的観点からみた皮膚切開
小笠原 邦夫
1
,
西井 博
1
Kunio OGASAWARA
1
1高松市民病院外科
pp.932
発行日 1997年7月20日
Published Date 1997/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902778
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虫垂炎に対する虫垂切除症例は若年者にも多く,手術創を気にすることも多い.最近,われわれは男性4例,女性3例の計7例に対し,従来の報告とは異なった皮膚切開創から腹腔鏡下虫垂切除手術を行い,最少限度の侵襲で病巣の摘出を行っている.患者側からも負担の軽減と美容的観点から好評が得られている.
本術式は全身麻酔下に施行する必要がある.Trendelenburg位で臍内側上方に10mmの弓状切開を加え,open laparo-scopyの手法で骨盤腔へ向けて10mmトラカールを刺入する.同部から腹腔鏡を挿入し観察した後,トロカールの挿入部位は腹腔鏡観察下に恥骨上部左右両側のpubic hairの部位から2本のトロカール(10mm)を挿入する(図1,2).下腹部では腹膜と筋層との固定が弱いため,切れの良いトロカールが必要である.恥骨部から挿入した鉗子類を用いて,虫垂切除術を行っている.虫垂間膜をいくつかの格子状に剥離し,clip applierを使用しクリッピングを行い鋏で切離している.虫垂はPretiedloopなどを使用して5mmの間隔で二重結紮し切離する.最近は虫垂および虫垂間膜をEndo-GIAを使用し切離している.手術後は恥骨部右側からペンローズドレーンを挿入し,先端は回盲部からDouglas窩に誘導している(図3).
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