私の工夫—手術・処置・手順・31
頸部食道胃管吻合術時の大網充填および胃管作成上の工夫
清水 鉄也
1
,
児嶋 哲文
1
Tetsuya SHIMIZU
1
1函館中央病院外科
pp.640
発行日 1997年5月20日
Published Date 1997/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902727
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食道癌における頸部食道胃管吻合部の縫合不全は,全身状態の悪化や術後吻合部狭窄による嚥下困難,肺炎などの合併症を引き起こし難渋することがある.われわれの,左側大網を利用した再建術および胃管作成上の工夫を紹介する.
われわれは原則として胸壁前にて再建しているが,腹部郭清操作終了後大彎側胃管を作成する.この際,図1に示すように左側大網を温存し胃管大彎側に付着させておく.次に皮下トンネルを作成するが,大網を胃管とともに頸部に引き上げるため,皮下剥離は全長に渡り可及的に広く行うことが必要である(約10cm幅).また,従来食道胃管吻合は胃管穹窿部前壁を切開したり1),胃管小彎側GIA切断端を開放して自動吻合器を挿入することが多いが2),われわれは図2に示すように,胃管作成時小彎側口側を余分に残し,後の自動吻合器使用の際にこの部分より吻合器を挿入している.これにより胃管に新たな切開創をつくらず胃管の損傷を防ぐことができるとともに,この手技により胸骨後再建の場合でも容易に器械吻合が可能となる.
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