特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅳ.術前一般検査—異常値の読みとその対策
精神機能の検査
岡村 仁
1
1国立がんセンター中央病院精神科
pp.456-458
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902552
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術前に最低限チェックしておくべき精神機能として,不安や抑うつが強くないかどうか,および痴呆やせん妄が存在していないかどうか,といった感情状態や認知機能の評価があげられる.これらの状態を正しく認識しておくことは,手術適応を考える際だけでなく,術後のケアを行っていく上で重要になってくる.すなわち感情障害や認知機能障害を見過ごし,症状をコントロールできないまま手術を行ってしまうと,術後,高頻度にせん妄が生じたり,不安・抑うつ状態が遷延,増悪することによって,全身状態の管理にも支障をきたすことになる.
術前に感情状態や認知機能を簡便,かつ客観的に評価するためには,患者が自ら記入することにより評価を行う自己記人式評価法や,簡単な質問に対する回答で評価を行う質問紙法などの,評価尺度を用いたスクリーニング法が有用であると考えられる.ここではこうした調査尺度の利用と評価を中心に述べていく.
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